身の回りの整理をするために断捨離を考えているとか、自分の財産を子へ承継する準備をしたいなど自分の終末に向けての活動を世間一般的に終活と呼ばれています。

 これから終活」を始めようとされる方には、これからの指針としてエンディングノートを1冊作成するところから始めることをおすすめいたします。

 

 遺言書もそうですが、エンディングノートは1度書いたら終わりではありません。生活していくうえで、日々、環境は変わるものですから、その都度状況に応じて、情報を上書きしていくことが必要です。そう考えると、エンディングノートには、完成形がないのかもしれません。

 思いついたときにその想いを記録していく日記帳だったり、忘れてはいけないことをメモしておく備忘録だったり、エンディングノートは様々な用途に使うことができます。

 

 そのため、完成させなければならないを気負いすることなく、空欄があっても問題ないですし、1ページ目から埋めていく必要もありません。

 幼少期の頃から現在までの自分史を書きつづることも楽しいですし、「日課はエンディングノートを書くこと」というように意外とはまってしまう方も多いようです。

 

 まずは、エンディングノートを手にしてみることから始めましょう。

エンディングノートの大まかな内容は?

 エンディングノートの中身につきましては、だいたい次の内容となっています。

 

①自分自身に関すること(自分史のページ)

 自分の生まれた日時や状況、そして幼少期を経て、就学、就職などの経歴などを書きつづるところです。

 

②家族・親族・友人・知人に関すること

 病気やケガ、葬儀のときなど自分にもしものことがあったとき、ここに記入しておくことで身内の方がスムーズに連絡できるようになっています。

 

③お金や不動産などの財産管理

 もし、相続が発生した場合、ご遺族の方が、どこに何の財産があるのか把握することはとても大変なことです。従来は、家の大捜索が始まりますが、ここに記入しておくことで、通帳や証券が見当たらなくても、おおよそのアタリをつけることができます。

 あとは、その金融機関や保険会社などに対して、相続人の立場として、本当にあるのか(現存照会)、いくら残っているのか(残高照会)を尋ねればよいことになります。

 

④医療(重大な病気の告知・終末医療)・介護

 将来、認知症や病気やケガによる危篤状態などによって、自分の意思表示を示すことができないことを考えると、このページは大変重要なものとなってきます。

 

・ がんなどの生死を決める病気が発覚したら告知をしてほしい。

・ 終末医療は、特別的・積極的な治療を望まず、遺された家族にも負担のかからない自然な死を選択したい(尊厳死)。

・ 介護の方針については、自宅介護が望ましい。

・ その他、臓器提供や献体について

 

⑤葬儀・お墓の管理・納骨・供養・法要など

 無宗教・無宗派の方が増えてくると、従来の墓石・一般の葬儀以外に共同墓地や散骨、家族葬や直葬(霊安室からすぐに火葬する方法)など、いろいろな選択肢が増えてきました。

 どのような葬儀をしたいのか、自分の遺骨はどうしたいのかを書くところとなっています。

 

⑥遺言・相続・遺品整理など

 ここに遺言や相続を記入しても法的効果はありませんが、一定の方向性は示すことができます。また、遺言書を作成しているのかもここで知らせることができます。

 また、遺品に関して、遺族の誰にもらってほしいのかも記入することができます。

 

⑦大切な人へのメッセージ

 遺言書でも不言事項といって、一定のメッセージを書き遺すことができます。必ずしも遺言書を残すとは限らない方のために、このページに最後の想いを伝えてください。

 

⑧その他

 携帯電話やパソコンのアドレス管理、インターネットのID・パスワード管理などメモ書きできるものがあればいいなと感じたことはないでしょうか。

 エンディングノートを高齢者でなくても、比較的家庭を持ち始めた方にもおすすめする所以がここにあります。

 LINEやFacebookなどSNSをされている方やアマゾンプライムなどの有料動画配信を利用されている方は解約手続きをするのに役に立つページとなっています。

 また、電気・ガスなどの引き落としについても、どの通帳を利用しているのか調べるのがとても大変です。

 そして、ペットを飼っている方は、お亡くなりになった後のペットのお世話を誰に頼みたいのかなどについて記入することができます。

エンディングノートはどのようなものがいい?

 エンディングノートは、書店で販売しているほか、ネットで無料で手に入れられたり、金融機関や保険会社・葬儀社が利用客に無償で配布しているものもあります。

 大まかな内容は、上記のものですが、自分史のボリュームが多かったり、書き方に関してのアドバイスや有名人の辞世の句やポエムなどがあったりして、発行元によってそれぞれオリジナリティがあります。

 購入金額に関しても、0円のものから5,000円程度の高額なものがあります。まずは1,000円程度の市販のものがおすすめです。

 

 エンディングノートは、そもそも残された遺族への最後のメッセージノートです。その遺族の方が見やすいものが一番だと個人的には思っています。書き方がわからなければ、その書き方についての本を購入したり、専門家に支援してもらえば済むことです。

 また、偉人の言葉などのコラムは、遺された人にとっては必要のないものであり、個人の想いが詰まったノートの間に散りばめられていては、もはや邪魔者でしかありません。

 

 したがって、エンディングノートを買うときは、製本がしっかりしてて、中身を見て選ぶことができる書店がおすすめということになります。

エンディングノートの持ち出しは控えましょう。

 今まで、エンディングノートについてお話ししてきたとおり、個人情報のかたまりです。そのため、外部に持ち出して紛失してしまうと、大変なことになってしまいます。

 家には泥棒はいないと思いますが、各家庭の事情によってはエンディングノートを厳重に保管するか、重要な記載はあえて避ける方法もあります。

 また、外出中に思い出して書きたいこともあるかと思いますので、別に持ち歩ける小さめのノートを用意しておくのも効果的です。

エンディングノートの存在を大事な人に知ってもらいましょう。

 手紙もそうですが、読み手である大切な家族を常に意識して書きましょう。終活を行う上で一番大事なことは、自分の生活をサポートしてくれる家族の存在です。

 いくらエンディングノートに医療・介護・葬儀のことを書いても、その存在を伝えることができなければ、意味がありません。ですから、その読み手である家族には、エンディングノートを書いているという事実だけは伝えておきましょう。

エンディングノートの作成支援について

 弊事務所では、エンディングノートの作成支援を行っています。

料金:20,000円(税別)

 ※エンディングノートを弊事務所でご用意するときはその実費

契約期間ご契約日から3か月間または支援時間10時間までのいずれか早い時期まで

内容:エンディングノート作成に必要な情報提供

 例)訪問介護・デイケア・デイサービスなど介護サービスや介護保険制度の仕組みについての説明、尊厳死と安楽死の違い・尊厳死宣言書の活用などについて