工事や事業により直接発生した廃棄物を産業廃棄物といいます。
その産業廃棄物を処理場まで運んだり(収集運搬)、処分したり(処理業)することを業務として行う場合には、北海道や保健所が設置されている市への許可が必要となります。
産業廃棄物の定義
産業廃棄物とされるものには、以下のようなもの(一例)があります。なお、家庭やオフィスで出るゴミは一般廃棄物となり、一般廃棄物収集運搬業等の許可が別途必要となります。
ただし、一般廃棄物については指定業者があるので参入は難しいと思われます。
① 燃え殻・廃油・廃アルカリ・廃プラスチック類など
② 紙くず、木くず、金属くず、動物性残渣物、動物の糞尿、動物の死骸など
③ 輸入された廃棄物など
これ以外に揮発性・毒性・感染性のある産業廃棄物は特別管理産業廃棄物とされます。
産廃業許可の申請先について
申請先は、収集する場所(荷積み地)と処分する場所(荷降ろし地)の組み合わせによって変わるので、注意が必要です。
① 荷積み地(旭川市)⇒荷降ろし地(旭川市)の場合
旭川市のみの許可となります。
② 荷積み地(旭川市)⇒荷降ろし地(道内)の場合
③ 荷積み地(道内)⇒荷降ろし地(道内)の場合
上川総合振興局保健環境部環境生活課を経由して北海道への許可のみとなります。
④ 荷積み地(旭川市で積替保管あり)⇒荷降ろし地(道内のその他の市町村)の場合
旭川市と北海道の両方の許可が必要となります。
政令市(旭川市・札幌市・函館市)に積替保管場所があるときは、その政令市長の許可が必要となります。
4つの許可要件
建設業と同じように、産業廃棄物の許可には要件があります。
ここからは一番許可件数が多い収集運搬(積替保管なし)を例にお話しします。
その1 産業廃棄物の収集運搬を的確に行うに足りる知識及び技能を有すること
産業廃棄物の知識及び技能を取得するためには、「日本産業廃棄物処理振興センター」の講習会を修了する必要があります。
現在、コロナ下で暫定講習会としてオンライン講義を事前に受講し、会場で試験を行う2段階形式の講習会となっています。試験日から約3週間後に修了証が到着しますので、これをもって要件を満たすこととなります。
受講対象者は、個人事業主は申請者本人、法人は代表者・監査役除く役員・または政令に定める使用人のうち常勤者です。
北海道では、年2・3回程度となっていますので、タイミングを見計らって受講しましょう。
その2 収集運搬に必要な車両・容器を備えていること(施設に関する要件)
処理場まで運搬するためには、トラックなどの車両が必要となります。また、運搬中に廃棄物が飛散・流出・悪臭が漏れ出たりしないための容器(ドラム缶など)を備えていることが要件となります。
車両の使用権限については、原則使用者と申請者が一致していなければなりません。車両を借用しているときは、賃貸借契約書・使用貸借契約書・使用許諾契約書などが必要となります。
なお、契約書等を作成されていないときは、弊所で作成することも可能です。
その3 収集運搬を的確かつ継続的に行うための経理的要件を有していること
産業廃棄物を取り扱うにあたり、途中で資金不足となり、保管場所にずっと放置されては困ります。そのため経理的要件を確認するために、直近3年分の財務諸表と納税証明書の提出が必要となります。
直近の決算で債務超過など経理的に問題がある場合、公認会計士や税理士・中小企業診断士による証明が追加で必要となる場合があります。
また開業後3年未満であっても、資本金の額及び株主構成等を記載した書類の提出により許可は可能です。
個人事業主につきましては、財務諸表の代わりに、最新年度末の「事業収支明細書、資産に関する調書」の提出に代えることができます。
その4 欠格要件に該当しないこと
個人はその申請者、法人は代表者、役員、政令に定める使用人、法定代理人、相談役または顧問及び5%以上の株主が欠格事由に該当するときは、許可を受けることができません。
また、許可後に欠格事由に該当すれば、許可の取消事由となります。
【欠格要件の例】
- 成年被後見人、被保佐人、破産者で復権を得ない者
- 禁固刑以上の刑を受け、5年を経過しない者
- 廃棄物処理法等の関連法律に違反し、罰金以上の刑の処罰を受け5年を経過しない者
- 暴力団構成員である者、または辞めてから5年を経過しない者
書類作成の注意点
許認可全般において言えることですが、役所によって書類の記入の仕方が若干異なります。
書類を作成した後は、事前に予約をとったうえで窓口で確認をした方がよろしいと思います。
旭川市につきましては申請の手引きを参考に作成することができますが、北海道につきましては、申請の手引きはあるものの、単なる提出書類の一覧表で細かいことは書かれていません。旭川市の手引きに準じて作成をし、役所で修正等のアドバイスを受けることとなります。
以下に記入の方法の一部を掲載いたしますので、参考にしてください。
産業廃棄物収集運搬業許可申請書
①申請人の氏名等について
代理人が申請する際には、所定の委任状を添付した上で、申請代理人の住所・氏名等の記載が必要となります。
委任状については、旭川市は様式がありますが、北海道はありませんので旭川市のものを参考にして作成しましょう。
FAXのない事業所も増えていますが、その場合FAX欄には「なし」と記入します。
②事業の範囲
産業廃棄物の種類に従って記入することとなります。積替え保管なしのときは「積替え保管なし」と明記します。
また、石綿含有産業廃棄物の運搬がある場合には、以下のとおり記入します。
ア)旭川市
廃プラスチック類(石綿含有産業廃棄物を含む)
がれき類(石綿含有産業廃棄物を含む)
ガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くず(石綿含有産業廃棄物を含む)
イ)北海道
廃プラスチック類、がれき類、ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず、石綿含有産業廃棄物
ガラスくずの後の中黒点と句点の違いや、石綿含有産業廃棄物の記載方法が異なります。
③事務所及び事業場の所在地、事業の用に供する施設の種類及び数量
旭川市では「別記様式7のとおり」など別の様式に記入しますが、北海道の場合は本票に記入し、書ききれないときに別紙様式を使います。
収集運搬業事業計画
①事業の全体計画
旭川市の申請の手引きに従って記入します。北海道も同じような記入の仕方で構いません。
②収集運搬する産業廃棄物の種類及び運搬量等
廃棄物の種類ごとに記入しますが、石綿含有産業廃棄物の記入の仕方は許可申請書の事業の範囲と同じように記入します。
③運搬施設(車両・容器・保管施設)
廃棄物の種類によって、車両や容器の記入が必要となります。
車両につきましては、一般のダンプやバン以外に、汚泥などの液体物の運搬については吸引車、水密仕様ダンプ、密閉コンテナ車があります。
容器につきましては、ドラム缶やフレキシブルコンテナ(フレコンバッグ)などがあります。
記入の方法については概ね旭川市の手引きを参考に記入します。
石綿含有産業廃棄物の場合、以下のとおり記入します。
「石綿含有産業廃棄物を含む産業廃棄物については、混合しないように別途梱包する。仕切りを設けるなどして他の産業廃棄物を区分して運搬する。破砕することのない方法で、原形のまま積込み及び荷下ろしを整然に行う。」
④事業開始に要する資金の総額及びその資金の調達方法
産業廃棄物収集運搬業の許可において資金調達を要しない場合は、「事業の開始に要する資金の総額欄」に「0円」、「事業の開始に際して新たな資金を必要としない理由欄」に「既存施設を使用するため新たに資金を要しない。」と記入します。
なお、北海道の様式には理由欄は設けられておりませんが、金額欄に理由を付記することとなります。
添付書類について
添付書類についても役所で必要書類が異なる場合がありますので、事前に相談した方がよろしいかと思います。
事業の用に供する施設の書類および図面
①事務所、事業場等の附近の見取り図
事務所や駐車場、運搬車両の使用状況を確認するため、以下の書類が必要となります。
- 施設にかかる土地及び建物の不動産登記事項証明書
- 事務所・駐車場・事業場等の附近の見取り図(住宅地図など)
- 車両の配置図(見取り図に表示しているときは不要)
- 申請者が所有権を有しないときは、賃貸借契約書(賃料有)、使用貸借契約書(賃料無)・使用許諾契約書のいずれかのコピー
土地の賃貸借契約書等の所在地が住所ではなく、土地の地番が記載されているときは、住宅地図では確認できないため、公図を添付する必要があります。
公図につきましては、不動産登記事項証明書と同様に法務局で取得することができます。
②車両の写真
ナンバープレートが確認できるように全体の写真を撮影します。基本的には、前面及び側面の各1枚を貼り付けます。
前面にナンバープレートが付いていない場合には、後面の写真を添付します。
③容器の写真またはカタログ
容器の実物がある場合は、その写真を全体が確認できるように撮ります。
なお、購入予定の場合には、カタログやパンフレットを添付書類として提出します。申請書には、「別紙カタログのとおり」と記入します。
カタログが店舗で入手困難な場合は、インターネットで「フレコンバッグ カタログ」で検索すれば出てきます。