法人を設立するためには、定款をはじめとする必要書類を備え、法務局への登記が必要となりますが、法人形態によっては、あらかじめ役所への許認可が必要となる場合があります。

 

【許認可が必要な法人】

 ① 公益社団法人・公益財団法人

 ② 特定非営利活動法人(NPO法人)

 ③ 宗教法人

 ④ 学校法人

 ⑤ 医療法人

 ⑥ 社会福祉法人

 ⑦ 事業協同組合(外国人技能実習監理団体含む)

 ⑧ 商工組合

 ⑨ 消費生活協同組合

 ⑩ 認可地縁団体(町内会の法人化)

 

登記申請については司法書士が行いますが、役所への許認可は行政書士が行うこととなります。

 

ここでは、旭川市が提出先である②特定非営利活動法人(NPO法人)と⑥社会福祉法人を取り上げます。

特定非営利活動法人(NPO法人)

ボランティア活動など市民の自由な社会貢献活動を目的として設立する法人をいいます。

NPO法人は、福祉・医療・教育・文化など幅広いジャンルで活動しています。

対象となる団体

NPO法人として申請するためには、以下の要件を満たす必要があります。

 

① 営利を目的としないものであること

② 社団の構成員となる者の資格の得喪に関して、不当な条件を付けないこと

③ 役員のうち報酬を受ける者の数が、役員総数の3分の1以下であること

④ 宗教活動や政治活動を主たる目的とするものでないこと

⑤ 特定の公職者(候補者を含む)または政党を推薦、支持、反対することを目的とするもの

  でないこと

⑥ 暴力団でないこと。暴力団または暴力団員(構成員でなくなった日から5年を経過しない者

  を含む)の統制下にある団体でないこと

⑦ 10人以上の社員(社員総会で議決権のある者)がいること

 

※ここでの社員は会社の構成員で社員総会で議決権のある社内で権力のある人です。

 会社員や従業員の意味ではありません。

法人設立認証に必要な書類

設立総会を行った後、設立登記の前に設立認証申請書とともに以下の書類を添付して、所轄庁に提出します。

 

旭川市内のみに事務所を置く場合は、旭川市長が所轄庁となり、旭川市役所へ提出します。

その他北海道内に主たる事務所を置く場合は北海道知事となり、各総合振興局環境生活課へ提出します。

 

【主な必要書類】

  • 定款(3部)
  • 役員名簿(3部)
  • 各役員の就任承諾及び誓約書の原本(各1部)
  • 役員の住民票(各1部)
  • 社員のうち10人以上の者の名簿(1部)
  • 確認書(1部)
  • 設立趣意書(3部)
  • 設立総会議事録の謄本(1部)
  • 設立当初年度・翌事業年度の事業計画書(3部)
  • 設立当初の事業年度・翌事業年度の活動予算書(3部)

 

申請書の受理後3ヶ月以内に認証または不認証の決定がなされます。その後、2週間以内に法務局において登記することによってNPO法人が成立します。

ヒトの問題が重要

認証を受任する際によく問題となるのが、ヒトの問題です。

設立に際して、社員(構成員)が10名以上必要となります。また役員選定に関しては以下の要件があります。

 

【役員の定数】

理事3名以上、監事1名以上

 

【役員の制限】

役員については、それぞれの役員の配偶者もしくは3親等以内の親族が1人を超えたり、当該役員及び配偶者もしくは3親等以内の親族の総数が3分の1を超えてはなりません。

なお、役員と社員の兼職は認められます。

 

【幹事の制限】

理事や当該社団の職員との兼職は認められません。

社会福祉法人

保育所などの保育事業、老人ホームなどの介護事業、病院や診療所などの医療事業が法人化する選択肢として社会福祉法人があります。

 

税法上では公益法人となるため、収益事業とならないものについては非課税となります。また、補助金や助成金の種類も通常の会社より多く、受け入れられやすいというメリットがあります。

 

ただし、NPO法人よりもヒトの問題に加えて、お金の問題、さらに認可までの時間が長期間に及ぶことがデメリットとなります。

設立認可に必要とされる主な要件

設立の要件が細かくて、多いため、主なものをピックアップします。

 

【資産(お金)の問題】

社会福祉施設を経営する場合は、1,000万円以上を基礎財産としなければならない。

経営しない場合は、1億円以上を基礎財産としていなければならない。

 

運転資金は年間事業費の12分の2(児童福祉施設等を主に運営する場合は12分の1)以上に相当する現金預金が必要。

 

【ヒトの問題】

意思決定機関として評議員会(会社の株主総会にあたるもの)、業務執行機関として理事会(会社の取締役会にあたるもの)を必ず置くこととなっています。

 

[評議員について]

  • 評議員会を組織する評議員は、理事の数(定数6名)よりも多くなければならない。
  • 役員または当該法人の職員ではないこと
  • 各評議員または各役員の配偶者・3親等内の親族等が含まれていないこと
  • 社会福祉法人の適正な運営に必要な識見を有する者であること
  • 成年被後見人などの欠格事由に該当しないこと

[理事および監事について]

  • 理事のうち社会福祉事業の経営に関する識見を有する者、当該社会福祉法人が行う事業の区域における福祉に関する実情に通じている者、当該社会福祉法人が施設を設置している場合にあっては,当該施設の管理者が含まれていなければならない。
  • 理事本人を含めその配偶者及び3親等内の親族等が3分の1を超えてはならない。
  • 成年被後見人などの欠格事由に該当しないこと。
  • 理事は6名以上、監事は2名以上が必要

 

【時間の問題】

設立までに準備委員会の発足が必要となります。この準備委員会が設立に関する事務を行っていきます。行政との協議や評議員・役員の選定、各規程の整備、職員・利用者への説明などを1つ1つ行わなければならないため、設立までに1年もしくはそれ以上要する場合があります。

 

それぞれに書類が必要となるため、膨大な添付書類を用意することとなります。