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コンカフェキャスト等の経理その1

コンカフェキャスト(コンカフェ嬢)やホステスなどは雇用関係だったり、個人事業者扱いで報酬制になってたりします。

 

雇用関係の場合は、通常のサラリーマンと同様に年末調整を行えば税務申告は済みます。ところが個人事業者として契約を結んで報酬制の場合は、ご自身で確定申告をすることとなります。

 

個人事業者という立場から考えると、まずは所得税と住民税の税金関係を考えなければなりません。次に、雇用関係ではないので、社会保険料は会社と折半して健康保険に加入にはなりません。国民健康保険と国民年金をご自身で支払う必要があります。

 

夜のお仕事だからといって確定申告をしなくてもいいという訳ではありません。このテーマについては、「1回目:確定申告等の必要性について」と、「2回目:コンカフェキャストの必要経費にできる勘定科目」の2回に分けてお話ししたいと思います。

確定申告は必要か?

夜のお仕事をされている方は、確定申告をしなくてもよいと思われている方が少なからずいるようです。実際に税務署が乗り込んでくることもほとんどないことから、このような非常識が常識となっています。

 

個人事業者としてオーナー(会社)と契約をした場合、その時点で自営業の方と同じ立場になります。そして、初回の収入を受け取った分から所得税や住民税などの支払義務が発生します。

 

所得税の申告(確定申告)住民税の申告に分けてお話ししたいと思います。

所得税の申告(確定申告)

収入(正確には収入-必要経費の額=所得)が基礎控除48万円以下であれば、納める所得税はゼロとなるので、確定申告は不要となります。一時的にアルバイトで数か月働いたとかいう場合は、概ねこの条件に該当することとなります。

 

それ以外は、確定申告をする必要がある方になりますので、まずは所轄の税務署で「個人事業の開業・廃業等届出書(以下「開業等届出書」といいます)の提出をしましょう。

 

この開業等届出書を出さなくても確定申告はできるのですが、最近では国等からの給付金・支援金などを申請する際にこの開業等届出書が必要となる場合があります。そのため、面倒でも提出しておいた方がよろしいと思います。

 

たとえば、コロナ期の間に新規開業や個人事業形態で雇用されている方は、給付金を申請する際に開業等届出書の提出が必要となります。ところが、この書類を作っていなかったため、新規開業特例を受けられず、申請できなかったという事案も発生しています。

 

また、自らお店を構えて開業しているわけではないので、なるべく必要経費にできれば納める税金は少なくなりますので、毎月きちんと経理をして確定申告を行う(青色申告)ことで最高65万円の所得控除を受けることができます。この場合は、上記の開業等届出書とセットで「所得税の青色申告承認申請書」を提出することをおすすめします。詳しくは、こちら「青色申告」をご覧ください。 

住民税の申告

次に住民税(道民税及び市町村民税)ですが、こちらも所得が基礎控除43万円以下であれば、住民税は免除となります。ただし、こちらは納税額がゼロとなっても市町村への申告は不要となりませんので注意が必要です。

 

市町村への申告が不要なのは、確定申告をした方のみとなっています。確定申告の情報が各自治体に自動的に届くからです。したがって、確定申告か、住民税申告のいずれかの申告はしなければなりません。(・・・現状は別として)

 

大学生など期間アルバイトで少額しか受け取っていない方は、確定申告をしていないと思います。授業では教わりませんし、職場でもそのような話をすることもないかと思います。納税する金額が結果的に0円であれば、過怠税などのペナルティも発生しませんので実際は問題が生ずることはないでしょう。ところが注意する点があります。

 

最近、住民税が非課税世帯におかれましては、いろいろな助成金や給付金を支給することもあります。このときの条件として以下の項目があります。

 

「世帯の中に、住民税課税となる所得があるのに未申告である方がいない世帯」

 

収入はあるのに申告もしていない、そして給付金は非課税世帯として支給を受けるとなったら、不正受給となり犯罪となりますので、ご注意ください。

社会保険料は?

国民健康保険料につきましては、家族全体として世帯主に人数割で加算されることとなります。したがって、原則は所得がゼロであっても病院に行ったら保険証を提出するように保険料はかかります。なお、昨年1年間の家族全体の所得をベースとして国民健康保険料が設定されます。

 

国民年金につきましては、20歳以上であれば一律月額16,590円(令和4年度)を支払うこととなります(金額は毎年4月に改定)。したがって通常は毎年7月頃に通知書が送られてきます。

 

収入が少ないときには、各市町村の年金課窓口に免除(猶予)申請をする必要があります。これも確定申告などの納税情報をもとに全額免除から4分の1免除を受けられる制度ですので、積極的に活用しましょう。

 

ただし、こちらも収入があるのに確定申告をしていないまま、全額免除申請をするのは不実の告知となり不正行為ですので、注意してください。

青色申告の控除を受けるには?

さて、ここからは経理についてお話いたします。先ほども話した通り、納税額は「収入(報酬)-必要経費」で(事業)所得を計算します。そこから、基礎控除48万円だったり、さまざまな所得控除を差し引いた残りの金額に所得税が課されることとなります。

 

そのため、必要経費の証拠としていろいろな領収書の保存と、要件に基づいた帳簿をつけることで、青色申告控除10万円、55万円、65万円を受けることができます。通常の仕事も遅くまで大変だと思いますが、この帳簿付けも減税対策の一環ですから面倒でも取り組まれることをおすすめします。

 

青色申告の分類は3通りあります。帳簿をつけるなら最低限55万円のラインは狙った方がよいでしょう。

 

【55万円控除(基本)】

(複式)簿記の知識を備え、仕訳帳・総勘定元帳などの主要簿、現金出納帳・預金出納帳などの補助簿、貸借対照表・損益計算書などの決算書などの帳簿を作成・保存する必要があります。更にそれをもとにして、青色申告決算書を確定申告書とともに提出します。

 

【65万円控除】

55万円控除の要件を満たし、マイナンバーカード等によりパソコンやモバイルで電子申告をするか、電子帳簿保存をすることで、65万円控除となります。

 

電子帳簿保存は、領収書等の帳簿すべてをUSBに保存すればよいわけではなく、電子帳簿保存法に従った保存をしなければならず、実際にはハードルが高いので、電子申告一択で考えた方がよいでしょう。電子帳簿保存のことを詳しく知りたい方はこちらその2をご参照ください。

 

【10万円控除】

複式簿記の知識はいりませんが、家計簿のような簡易帳簿(現金出納帳、経費帳、損益計算書)を作成し、それをもとにして青色申告決算書を確定申告書とともに提出します。

 

簡易帳簿といっても、損益計算書の書き方は知らないとならないので、やはりそれならもうちょっと努力して55万円控除の方がよいと思います。

 

なお、青色申告の手続きを一切しない申告(通常の確定申告)を、青色申告に対して白色申告と呼んでいます。