各種文書の管理と保存【その3】

今回のテーマは、年度末におけるファイル類の保存箱への保存と廃棄についてお話いたします。

保存箱の作成とファイル類の保存

保存箱の作成について、「10年の会計書類」「3年の労働関係書類」のように基本的には、保存期間による分類をします。また、保存箱の中に個人情報が含まれている場合は、その旨の記載も必要となってきます。

 

ただし、個人事業者のように書類が少ない場合には、事業年度ごとの分類でもいいと思います。実際に弊所では、年度ごとに「経理用書類」と「業務用書類」の2箱に分類しております。

 

保存箱の表紙には、以下の内容を記入、またはA4の紙に印字したラベルを別途作成します。

 

【保存箱に表示すべき一例】

  • 事業所名または会社名(貸倉庫会社と契約しており、一括送付する場合は必須)
  • 事業年度
  • 保存年数及び保存期限
  • 箱の中に保存されている書類の種類や内容
  • 個人情報等が含まれているときはその旨

保存箱については、このように市販されているものがあります。モノによっては、上面及び側面4か所に表示されているものがあります。これは、どちらの方向から見ても何が保存されているか判別できるようにするためですが、正直5か所も手書きをすることは大変だと思います。個人的には嫌いです。

 

手書きの場合は保存する際に一番見える箇所に記載していればいいと思います。

結局は、その印字面を使わないで、別途作成した保存ラベルを貼ってしまった方が楽だったりします。

保存箱の送付

作成する保存箱が膨大で保存スペースが足りない場合は、貸倉庫会社と契約をし、一定期間を経過した保存箱については、一括送付することとなります。

 

お客さまの問い合わせがあったときに保存箱を開けなければならないので、概ね作成後1年間は事業所内の倉庫で保管をします。その期間経過後に倉庫会社へ送付をします。

 

万が一必要となった場合には、倉庫会社に保存箱のナンバーを文書により伝えて回収をします。また、保存期間が経過した場合は、適切な方法で廃棄してくれるので、とても便利です。

 

ここで必要なことは、送付前に一度開封して、内容物に誤りがないか確認してから送付をしましょう。確認せずに誤って送付してしまうと、個人情報の一時紛失法定の保存期間に満たない廃棄となってしまいます。もちろん、この場合の責任は送付した側にあります。

保存書類(保存箱)の廃棄

①マイナンバーが含まれている書類やマイナンバーカードの写し

書類の中には、マイナンバー(個人番号)が含まれている書類があります。マイナンバーについては、必ず法定保存期間終了後、または、必要がなくなった時点で速やかに廃棄しなければなりません。したがって、一般書類と違って必要以上に保存することはできません。

②顧客情報・従業員情報などの個人情報が含まれている書類

個人情報が含まれている書類や保存箱については、普通にゴミに出すことはできません。必ず、シュレッダーなどでの裁断処理が必要となります。これを怠って一般ゴミと一緒に出してしまうと、個人情報漏えいの危険性があります。

 

個人情報を取り扱う資格にプライバシーマークがありますが、このように認定を受けている事業所では、単純に裁断することはできません。個人情報が含まれた書類については、個人情報媒体管理簿などの帳簿を備え、個人情報管理責任者の立ち会いの下で裁断処理(シュレッダー)を行い、その旨の記録が必要となります。

③その他の一般書類

これらの書類も裁断が望ましいのですが、個人情報等や会社の秘匿情報が含まれていないものについては、一般の例にしたがって廃棄して構いません。

 

ただし、この場合も法定保存期間内に廃棄するおそれがないように、必ず内容物をチェックしてから廃棄するようにしましょう。