各種文書の管理と保存【その1】

年度替わりになると確定申告の準備もありますが、それと同様に1年間使用してきたファイルや書類の保管とともに、新年度のファイルも用意しないとならない訳で、事務的に大変忙しくなる時期となります。

 

以前、私が働いてきた郵便局でも20年以上担当し続けてきました。なぜだか行く先々で倉庫番になる時期が来ます。営業よりも事務作業が好きだったので気づけば夜になっていることが多かったですね。

各種書類の保存期間

会社や事業所によって扱う書類がさまざまなので、まずは書類の保存期間を押さえましょう。

会計書類

法人か個人事業によって保存期間が変わりますので、注意しましょう。

個人事業者

  保存対象の帳簿類

保存

期間

帳簿

仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳、預金出納帳

売掛帳、買掛帳、経費帳、手形帳、固定資産台帳 など

7年
書類 決算書関係

貸借対照表、損益計算書、製造原価報告書、完成工事原価報告書、

キャッシュフロー計算書、注記表 など

7年

現金、預金取引等

関係書類

領収証、小切手控、預貯金通帳、借用書など

7年

(※5年)

その他の書類

取引に関して作成し、または受領した上記以外の書類

⇒請求書、見積書、契約書、納品書、送り状など

5年
※白色申告者、前々年度分の所得金額が300万円以下の場合は、5年となります。  

法人

  保存対象の帳簿類

保存

期間

帳簿

仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳、預金出納帳

売掛帳、買掛帳、経費帳、手形帳、固定資産台帳 など

10年
書類 決算書関係

貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、製造原価報告書、

完成工事原価報告書、キャッシュフロー計算書、注記表 など

10年

現金、預金取引等

関係書類

領収証、小切手控、預貯金通帳、借用書など

7年

(※9年)

その他の書類

取引に関して作成し、または受領した上記以外の書類

⇒請求書、見積書、契約書、納品書、送り状など

7年

(※9年)

※欠損金が発生した事業年度の場合は、9年となります(⇒欠損金の繰越控除)。  

【保存開始時期】

決算書・帳簿については、決算書の作成日からとなります。

その他の帳簿については、申告書の提出期限の日からとなります。

  • 個人事業主:翌3月15日からとなりますから、令和4年分の請求書につきましては、令和5年3月15日から5年間となります。
  • 法人:原則として各事業年度の翌日から2か月以内となりますから、3月31日決算の会社の請求書につきましては、5月31日から7年間となります。

 

また、法定の保存期間にかかわらず、長期保存することは構わないので、決算書や帳簿についても、申告書の提出期限の日に合わせることが多いと思います。

 

事業所・会社によっては、独自の保存期間が存在する可能性があります。保存期限を過ぎた書類等を処分する際には、責任者に必ず確認しましょう。

人事・労務・税務関係書類

保存対象の書類 保存期間

法人税申告書、法人事業概況説明書、消費税申告書など

10年

個人事業の確定申告書

7年

源泉徴収簿、扶養控除申告書、保険料控除申告書、

基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書

7年

身元保証書、健康診断個人票、面接指導結果報告書、ストレスチェック表など 5年

雇用保険被保険者に関する書類、育児休業・介護休業に関する書類、

被保険者氏名変更届受理通知書 など

4年
労働基準法関係

労働者名簿、労働条件通知書控、雇用契約書、退職届、解雇通知書控、出勤簿

賃金台帳、タイムカード、超過勤務命令簿・残業命令簿などの労働時間の記録に

関する書類、年次有給休暇に関する書類など

3年 

 

労災保険関係 労働保険保険関係成立届、労働保険概算・確定保険料申告書など

労働者災害補償

保険関係

労働者災害補償保険特別加入申請書、療養補償給付たる療養の給付請求書

などの労働者災害補償保険に関する書類

健康保険・

厚生年金保険関係

被保険者資格取得等確認通知書、被保険者資格喪失確認通知書、

標準報酬月額決定通知書 など

2年
雇用保険関係

適用事業所設置届、事業主各種変更届、

被保険者関係届出事務等代理人選任・解任届 など

※法人で欠損金が発生した事業年度の場合は、9年となります。

なお、これから建設業許可を取りたい個人事業者で、専任技術者の資格10年経験が必要な方は、念のため確定申告書は、それに揃えて10年保存しておいた方が良いと思います。

会社法関係

保存対象の書類 保存期間
定款 永久 
株主総会議事録、取締役会議事録 10年
会計参与報告定時、臨時計算書類 5年
株主総会の代理権を証明した文書、株主総会の議決権行使に関する文書 3か月

永久保存が望ましい書類

開業当初の「個人事業の開業・廃業等届出書」「青色申告承認申請書」などは、後々必要になる情報が含まれていることがあります。したがって、開業・設立に関する書類については永久保存が望ましいと思います。