現金取り扱いの注意点

最近はキャッシュレスの時代ということで、クレジット・電子マネー・QR決済などの取引が増加しています。日本の現状としましては、まだまだ現金取引は中心的なものであることには変わりはありません。

 

本来は、毎日現金取引があれば、その日の最後に帳簿と現金を照合する作業が必要となります。ただ業種によっては、毎日帳簿をつけたりするのが大変なので、月単位で行っている方も相当数いるようです。

 

現金を取り扱う上で重要な帳簿としては、現金出納帳があります。現金を多く取扱う部署については、手提げ金庫などでの小口現金を使うこともあります。

 

そして、最近では会計ソフトで仕訳を行うことが主流となっていますが、この会計ソフトを扱う上で思わぬ落とし穴があることにお気づきでしょうか。

現金がマイナスはありえない

物理的に現金がマイナス状態に陥ることはありません。もし、そういうことがあれば財布の中身を見せて欲しいぐらいです。

 

毎日つけていればこのようなミスが起こることはまずないのですが、領収書をみながら数日まとめて記帳入力すると、このマイナスが発生することがあります。考えられる原因としては、思いつくところで2つあります。

 

まず1つ目は、取引のあった順番に入力をしていないことが挙げられます。預金からお金を引き出してから物品を購入するという手順から、物品を購入してから預金からお金を引き出してしまうと手持ちの現金(財布の中身)が不足してしまう場合があります。このときに現金がマイナス表示となってしまいます。

事業用金庫と自分の財布の使い分けができていない

2つ目は、業務用の現金とプライベート用の現金を分けて管理している方が、それぞれの現金について混在してしまったことが挙げられます。例えば、業務用物品の購入をプライベートの現金で立て替えて支払った際に、その旨の記帳をしていなかったときにマイナス表示となってしまう場合があります。

 

事業用金庫に現金が不足していて、一時的に自分の財布から持ち出ししたときは、『事業主借』勘定(事業主からお金を借りたときに使用する)または『預り金』(お客さまからお金を預かったときに使用する)を使用します。

先ほどと違うのは、事業用の現金(現金勘定)を使わずに事業者個人の現金(事業主借)と使っているので、その部分は現金出納帳には出てきません。代わって事業主借に旅費交通費が載ってきます。

 

現金のマイナスは大したことないように見えますが、税務調査があったときには悪い印象を与えます。「前後の記帳を間違えただけなのはわかるけど、こんな簡単なミスをやっているということは…他の帳簿もずさんなのでは?」と思うかもしれません。

 

なお、預金出納帳も同じことがいえます。担保預金で自動貸し付けをしていない限りは、マイナスになりません。また、通帳の表示と一致することを心がけながら入力をした方がより丁寧な仕事をしていることとなります。