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マイナンバーカード作成のメリットとは?

平成28年1月からマイナンバーカードの交付が始まっていますが、まだお手元にお持ちでない方が相当数おられます。

 

国に財産管理されているのではないかとか、いざ失くしてしまったら大変なことになるのではと作成自体に負担と感じている方や、必要であれば通知カードや個人番号付きの住民票を提示すれば用が足りると思われている方が、多いのではないでしょうか。

 

今回は、そこら辺も踏まえてマイナンバーカードのメリット・デメリットを説明していきたいと思います。

マイナンバーカードのメリット

①写真付きの本人確認書類として使える。

犯罪収益移転防止法により、金融機関で預貯金口座を作ったり、高額な払戻し・送金などの際には、本人確認をする必要があります。

 

また、行政書士(その他司法書士・公認会計士・税理士)の業務にも以下の取引については、この犯罪収益移転防止法による本人確認が必要とされています。

 

【本人確認が必要な取引】

 以下の行為の代理または代行を行うことを内容とする契約の締結

  • 宅地または建物の売買に関する行為または手続
  • 会社等の設立または合併等に関する行為または手続
  • 200万円を超える現金・預金・有価証券その他の財産の管理・処分

※税金等の納付、一定の後見事務に関する財産管理等、任意後見契約の締結は除きます。

 

本人確認方法については、①官公署等発行の写真付身分証明書1点、②写真なしの身分証明書2点のいずれかの提示が必要となります。

 

【写真付き身分証明書(主なもの)】

  • 運転免許証、運転経歴証明書(平成24年4月1日以降交付のもの)
  • パスポート
  • マイナンバーカード

 

【写真なしの身分証明書(主なもの)】

  • 健康保険証などの各種保険証
  • 母子健康手帳、療育手帳、保護手帳、身体障害者手帳、年金手帳
  • 印鑑登録証明書(請求書等に実印を押印した場合)

 

写真なしの場合では、健康保険証+年金手帳のセットが提示されることが多いのですが、年金手帳が見当たらないときは、金融機関等で手続してもらうことが困難となります。

 

年金手帳につきましては、令和4年4月から廃止となり、紛失して再発行をしても、年金手帳に代わる「基礎年金番号通知書」が送られてきます。この通知書には、住所が記載されていないため本人確認書類にはなりません。なお、今まで所持している方はそのまま本人確認書類として使うことができます。

 

そして、段階的に健康保険証もマイナンバーカードに統一されることが決まっています。また、運転免許証も近い将来に統一される動きがあります。健康保険証の統合につきましては、後ほど説明いたします。

 

以上のことから、本人確認書類としてマイナンバーカードを持つことは、メリットの一つといえます。

②市役所等の距離が短くなる。

実際に自宅と市役所の距離が短くなるわけではありませんが、戸籍・住民票・印鑑証明書・所得課税証明書など(以下「住民票等」といいます。)を市役所まで取りに行く手間が省けます。

 

お近くのコンビニのマルチコピー機に備わっている行政サービスにより、住民票等を取得することができます。まとめると以下のようなメリットがあります。

  • 市役所や支所に行く手間が省け、基本的に番号札で待つ必要もない。
  • 市役所の営業時間外(午前6時30分~午後11時、土日祝利用可、12月29日~1月3日・保守点検日は使用不可)でも住民票等を取得できる。

 

ただし、以下のように取得できない証明書もあります(旭川市の例)。

  • 1月1日現在に旭川市に住民登録がなかった人
  • 証明書の請求日時点で旭川市から転出(予定含む)している人
  • 死亡の手続きや転出の手続きを終えた人

 

【住民票の写し】

  • マイナンバーや住民票コード入りの住民票
  • 別世帯の住民票
  • 住民票記載事項証明書 など

【印鑑登録証明書】

  • マイナンバーカードの名義人以外の印鑑登録証明書

【戸籍謄本・戸籍抄本・戸籍附票の写し】

  • 除籍謄本・改製原戸籍など旭川市内の同一戸籍内の現在戸籍以外のもの

 

旭川市内でいうと、セブンイレブン、ローソン、セイコーマート、イオン、サッポロドラッグストアーに行政サービスのマルチコピー機が配備されています。

③マイナポイントがもらえる。

2022年12月末までにマイナンバーカードの交付手続きとマイナポイントの付与手続きをすることで、現在20,000ポイントが付与されることとなっています。なお、付与されたポイントを使用できる期限は2023年2月末までです。

 

【20,000ポイントの内訳】

  • マイナンバーカードの新規取得者で、セッティングした決済サービスで2万円分の買い物をすることで、5,000円のポイント(還元)がもらえます。
  • 健康保険証としての利用申し込みをすることで、7,500円分のポイントがもらえます。健康保険証を登録しても、病院が対応できる端末機を導入しないとならないので、実用化されるのはまだ先の話のようです。
  • 公金受取口座の登録を行うことで、7,500円分のポイントがもらえます。臨時の給付金や、国民年金、児童手当、所得税の還付金などに利用できます。

 

付与された20,000ポイントで、買い物をしたり、食事をしたりすることができますので、家計にとっては大変助かる臨時収入となりますよね。

 

健康保険証としての利用申し込みについては、顔認証で受付が便利になったり、病歴や薬の情報、医療費についても確認することができます。

  • 医療費明細がわかるので、医療費控除の手続きが簡単になります。
  • 医療費の限度額を超える一時的な支払いを抑えることができます。

④その他のメリット

その他、以下のようなメリットがあります。

  • オンラインで確定申告(e-Tax)ができます。
  • 子育てや介護などの行政サービスを申請することができます。
  • 証券口座開設など民間のオンラインサービスで使えます。

マイナンバーのデメリットとその対策

ここまでいいことづくめでお話ししてきましたが、冒頭に話しましたマイナンバーカードを作るうえでの心配事もあります。

①取りに行くのが不便だ。

マイナンバーカードの申請については郵送申請も可能となっています。しかしながら、発行されたマイナンバーカードは、原則本人が市役所まで取りに行かなければなりません。

 

あとは、本人が市役所で申請すれば、後日本人限定受取郵便にて受け取ることができますが、どちらにしても1回は市役所に出向かなければなりません。

 

また、未成年者であっても保護者同伴で取りに行く必要があり、非常に面倒な手続きになっています。

②マイナンバーカードの盗難・紛失が怖い。

本人確認種類として使えるので、当然個人情報が記載されており、個人番号も明記されています。そのため、盗難や紛失してしまうと他人に情報がもれるのでは、という心配事が懸念されます。

 

この辺につきましては、クレジットカードと同じような扱いとなっています。紛失や盗難に気付いたときには、利用停止の電話を掛けることで不正利用を防止することができます。

 

見つかった場合は利用再開の届出を市役所にて手続きをすることで、元通りの状態にすることができます。また、再発行の場合には、個人番号は変更されて発行されますので、古い番号では使用することができなくなります。

 

なお、給与等の年末調整のために勤務先へ届出をしているときは、その勤務先への届出もしておく必要があります。

③国に個人情報がもれたり、不正に使用される危険性があるのではないか。

これについては、国の職員ではないので保証はできませんが、必要以外の情報については使用することはないと明言されています。

 

あと、マイナンバーを提示したときに情報を読み込んで不正使用をする手口(スキミング)についても、万全の体制が取られています。

 

まずは、暗証番号です。暗証番号を一定回数間違えるとロックされる仕組みとなっています。解除するには本人が市役所に出向いて解除する必要があります。

 

また、ICチップについても不正に情報を読み込もうとすると、ICチップ自体が壊れて読み込まれなくなる仕組みとなっています。

 

当然、本人確認書類として本人の写真が写っているので、なりすましで使用される危険性もありません。

総務省リーフレット「持ち歩いても大丈夫!マイナンバーの安全性」より

最後に

以前より相続を受けるタイミングでマイナンバーカードの作成支援をしていました。

相続でよく使うのが住民票や印鑑登録証明書ですが、印鑑登録証明書については、基本的に代理人が取りに行くことはできません。

 

そのため、ご本人に取り寄せてもらうこととなりますが、数カ月かかると思われる相続手続について印鑑登録証明書を準備するのは、遺産分割協議書作成や金融機関への支払手続きなど終盤の段階です。

 

また、年金の手続や電話の名義書換などで住民票を取ってもらいたいとのご依頼もあります。相続手続については職務で取ることができますが、それ以外の場面で必要なときは、委任状をもらって市役所で取り寄せる必要があります。

 

最初の段階でマイナンバーカードを作ってもらうことで、お客さまを何回も手間を掛けさせないことや、業務効率化を図ることができます。

 

最近では、行政書士会の取り組みとしてマイナンバーカード申請手続相談員が配置されております。

 

マイナンバーカードの申請やマイナポイントの仕組みについてお知りになりたいときは、各自治体のほか、お近くの相談員登録をしている行政書士に聞いてみてはいかがでしょうか。

 

私も相談員として登録していますので、マイナンバーカードの申請にかかるサポートをしています。最後は宣伝になりますが、よろしくお願いいたします。