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電子帳簿保存法について【その2】

②紙媒体の請求書等をスキャンして保存

このカテゴリーも義務化はされていません。請求書等の枚数は他の書類と比べて多いので、できれば電子媒体にして、現物は処分しておけば、倉庫等のスペースは当然広くなります。

 

請求書等をただPDF化して保存しておけばいいものではなく、そのハードルは決して低くありません。

 

まず、原則としてタイムスタンプの付与が必要となります。タイムスタンプとは、電子化された文書が原本であることを証明するものです。付与時に時刻が入り、その後変更されていないことが証明されます。

 

このタイムスタンプを利用するためには、業者との契約が必要となり、定額制や従量制などありますが有料となります。

 

さらに、請求書等を受け取った日から2か月と概ね7営業日までに付与しなければなりません。それを過ぎると、紙媒体での保存方法となります。

 

なお、電子帳簿保存法対応のクラウドを利用し、訂正もしくは削除の記録の履歴がわかる、または訂正・削除ができないシステムのものであれば、タイムスタンプの付与が不要となります。

 

以上のことから、紙媒体の保存でも構わないという事業所は、現状はスルーしてもいい項目となります。

③電子メール等で授受した電子取引情報を保存

こちらのカテゴリーに関しては、法人であろうが、個人事業者であろうが、必ず取り入れなければならない項目となります。

 

電子メール等で授受した電子取引情報は、例えばAmazonなどのECサイトで購入した請求書や領収書、最近では電話料などの水道光熱費もペーパーレス化でメールで請求書等が送られたりしています。

 

この電子取引情報の保存方法は2通りあります。

 

1つ目は、②とほぼ同じ要領でタイムスタンプの付与を行い、クラウド等に保存するものです。

また、税務職員が来た時にすぐ取り出せるように検索システムを導入しなければなりません。請求書等が保存できる専用ソフトも販売されています。

 

なお、基準期間(前々年の1月1日から12月31日までの間)の売上高が1,000万円以下の場合は、税務職員の求めに応じてダウンロードが容易であれば、検索要件は不要となります。

 

2つ目は、保存するファイル名を「20221001_マーズオフィス_30,000」(2022年10月1日発行マーズオフィスから30,000円の請求書)のように規則性を持たせて、取引の相手先や年月ごとに任意のフォルダに格納して保存する方法です。

 

ただし、この場合訂正や削除の担保性が取れないため、事務処理規定訂正削除依頼書の作成が必要となります。様式は、国税庁ホームページでダウンロードできます。

取引情報訂正・削除申請書.pdf
PDFファイル 90.7 KB

まとめ

なるべく楽をしたいという方は、③の電子取引情報を2つ目の方法で行うのが一番おすすめです。(ちなみに、弊所もこの方法で行います。)

 

最初だけ事務処理規定のひな型を調製しなければなりませんが、あとはファイルの保存方法に気をつければいいと思います。

 

ここでは、最低限の情報しかお知らせしていないので、詳しく知りたい方は国税庁ホームページに特設サイトがありますので、ご参照ください。