前回に引き続き、今回は「コンカフェキャストの必要経費にできる勘定科目」をお話ししたいと思います。ホステスさんなどの類似業種の方も参考にしていただければと思います。
経費にするためには?
必要経費にするためには、請求書・領収書やレシートなどを証拠として保存しておく必要があります。アマゾンなどの通販であっても領収書や請求書などは出力できます。領収書等がない場合は、カタログやインターネットの画像とともに、配送されてきた送り状を控えておくなどきちんと自分が買ったという証拠を保存しておきましょう。カタログの一部やインターネットの画像だけでは購入の証拠にならないからです。
あと、よくあるのが領収書のあて名は必ずなければならないかということですが、必要ありません。個人事業者は自分しかいないので、自分が手にしている領収書は自分のものだからです。
だから、「レシートではなく、領収書をお願いします。あて名は○○(自分の名前)で」といわなくても構いません。その時間は店員にとっても自分にとっても無駄な時間です。
書いてもらっても間違いではないので、時間がある人や几帳面な方はそのまま継続してください。ただし、以下の記載には注意してください。
- あて名が「上様」は×なので、それなら空白の方がましです。
- お品書きが単に「品代」は×なので、できる限り明細を別にもらうか、勘定科目がわかる程度に内容を明記してもらいましょう。
当然のことですが、他人から領収書を集めるのは、厳禁です。
経費にできる勘定科目
個人事業者すべてに共通していますが、事業のためにかかった費用については、原則必要経費にすることができます。
実際にホステスさんが紹介しているブログもありますが、全て無制限に経費にできるわけではありません。勘定科目によってはその範囲が決まっているものもあります。これは、「個人事業者は(基本)税務調査が入らない」という暗黙のルールがあるので、基本は押さえてもらって、あとは自己責任で行ってください。
税務調査が入るとすれば、このような事例でしょうか。
- 株式投資など別の所得で不正があって、調査を受けてしまうパターン
- その業界で税金の抜け道があって、それが明るみになってしまった際に、重点調査対象となってしまうパターン
だいぶ前の話になりますが、以前の職場(保険業の外交員報酬)で「収入の3割を必要経費にできる」という話が広まっていました。証拠の領収書などはなく、法律の根拠すらありません。この風聞を信じて確定申告をしていました。ところが、これが報道になってしまい、しばらくはその業界がターゲットになってしまいました。このようなこともあるので、あまり根拠のない節税方法は必ず確認してから行った方がよいと思います。
過去のブログでも話していますが、確定申告書は税務申告だけでなく、銀行の融資のための資料、給付金・支援金のための添付書類などに使われることもあります。適当な確定申告書を作ってしまうと、後々取り返しのつかないことがあります。
確定申告の時期になれば、市販の確定申告書のための本や、勘定科目の本を1冊は持っていた方がよろしいかと思います。
ちなみに勘定科目は必ずコレでなければならないわけではなく、基本的には自由です。ただし、確定申告書は税務署の職員など他人の目に触れることを前提としていますので、なるべくわかりやすい勘定科目にした方がよろしいでしょう。
また、一度決めた勘定科目は最低1年(会計年度)は使用し続けてください。例えば、ガソリン代は、燃料費や車両費が一般的ですが、今回は燃料費にして、次回は車両費にすることはできません。だから、似たような勘定科目で迷ったときは、前の帳簿で確認してください。
なお、ちょっと使い勝手がよくなかったので、別の勘定科目名にしたいと思うなら、翌年度の勘定科目から変更してください。(継続性の原則といいます。)
衣装費(代)
まずは、身だしなみの費用です。
コンカフェでいうと、メイド服や様々なコスプレ衣装については、衣装費として計上することができます。通常の職業でも制服代や作業着などを自前で購入した場合は、必要経費にすることができます。
ここで注意が必要なのは、プライベートで使うものは必要経費にすることはできません。例えば、ワンピースとハイヒールなどしか使わないホステスさんは、トレーナーやスニーカーを必要経費にすることはできません。あとは、仕事でも着用するけど、プライベートでも着るような衣服についても、原則は必要経費にすることはできません。グレーゾーンはダメということになります。
男性であれば、スーツや革靴などが該当しますが、スーツは経費にできても、革靴はプライベートでも履いて歩くことが想定されていることから経費にできない場合が多いでしょう。サラリーマンが経費にできないのに個人事業者だけ経費にできるのは不公平という考え方もあるので、概ね仕事中心に使うものは経費にできる。仕事と私用半々はダメというように押さえておけばいいと思います。(半額だけ経費にするということも考えられますが・・・)
一ついえるのは喪服や礼服などのフォーマルスーツは、仕事では使わないので必要経費にすることは難しいでしょう(葬儀社は別ですが・・・)。
ちなみに、代替として消耗品費でも構いません。電子会計であれば、補助科目で細分化してもいいですね。会計帳簿は税務申告に使うほかにも、家計簿代わりに1年間でどれだけ使ったかの確認にもなります。
化粧品費(代)
メイクアップに使う化粧品代も、化粧品費(代)として必要経費にすることができます。別の業種では必要経費になることはありませんが、メイクアップがあるのであれば、化粧を落とすためのクレンジング代やパック代も経費で落とすことができます。
綺麗な自分を維持するための費用は、すべて必要経費にすることができます。ただし、ボディソープやシャンプーまでは日常使うこととなるので経費にはできません。
代替としてこちらも消耗品費や後述する美容費でも構いません。
美容費
ヘアサロンなどでのヘアカット代や、ネイルサロンやマツエク、エステサロン代は、美容費として必要経費にすることができます。
ただし、美容整形に係る手術代については、美容の限度を超えているため否定的な意見があります。仕事とプライベートの隅分けが難しいものは、基本的に経費にすることは難しいとされています。
旅費交通費
コンカフェバーなら自動車を運転することはないと思いますが、カフェだけで働いている方の通勤のためのガソリン代、駐車場代、その他バス代・タクシー代は旅費交通費として必要経費にすることができます。
もし、出張で別店舗に行く際に宿泊代がかかるのであれば、こちらも経費で落とすことができます。
タクシー代や駐車場代は必ずレシートをもらいましょう。もし、酔っぱらいすぎてもらうのを忘れてしまったときは、出金伝票でどこからどこまでの距離、利用機関など詳細を記入して残しておけば大丈夫です。なお、出金伝票はダイソーなどで1冊110円で売っています。出金伝票の使い方は「領収書がもらえないときの経理方法」で説明しています。
バス代など毎日同じ金額だけ発生する項目については、エクセルなどで表を作成してシフト表みたいなものを作成しておけば大丈夫です。具体的には、「交通会社」「番線」「始発のバス停~到着のバス停名」「料金」などを表題辺りに記載して、あとは1日から31日までのマス目に丸を付けるような感じで作ればいいと思います。
また、ガソリン代は通常は全額経費にすることはできません。プライベートで移動する分は経費にできないので、距離数などで家事按分する必要があります。
家事按分:費用全体を事業使用分とプライベート使用分に振り分け、事業用だけを必要経費にすることです。
消耗品費
購入金額10万円以下、または法定耐用年数1年未満の備品・物品購入は、この消耗品費となります。経理をするための文房具代や、化粧台、鏡台、衣装を収納するための衣装ケース、ハンガー、仕事で使うその他もろもろがこの勘定科目となります。先ほどの出金伝票や、パソコン、会計ソフトなどもここの部類に入ります。
備品(資産計上)
購入金額10万円以上(税込)及び法定耐用年数1年以上の備品は、全額経費にすることができません。
経理のためのパソコンやタブレット類になるかと思いますが、これは固定資産(財産)になります。一般的なノートパソコンについては耐用年数は4年となっています。
この固定資産は減価償却という方法で分割して費用化する必要があります。ですから例のノートパソコンについては原則4年(48月の月割計算)に分割して費用計上しなければなりません。
ただし、取得価額20万円未満のものであれば、以後3年にわたって均等額を費用化できるとか、青色申告者なら取得価額30万円未満のものを一括でできる特例などがあります。この特例は選択できますので、自分にあったものを選択しましょう。
通信費
通話料金代や、郵便料金、小包を送った際の運送代は、通信費で必要経費にすることができます。集客のためのDMや宣伝広告のための送料等は広告宣伝費にしても構いませんが、そんなに多くなければこの通信費で構いません。
基本的に勘定科目を多くしてしまうと複雑になってしまうため、自分のわかる程度に細分化したり、統合した方がよろしいと思います。
携帯電話の本体は、10万円以下であれば消耗品費となりますが、請求書は通信費とともに分割払いというようなこともありますよね。この場合は、通信費に合わせて計上した方がラクです。
接待交際費
お客さんとの同伴や、打ち上げなどの飲食代は接待交際費として計上することができます。他のブログでは、部外者との接客は接待交際費、スタッフとの打ち合わせは会議費としているものもあります。これはこれで正解なのですが、法人と違って個人事業者は接待交際費に上限はありませんので、接待交際費一本で構いません。
また、上限がないからといって、何でもかんでも接待のためならこの経費に入れていいわけではありません。例えば接待ゴルフなどでレンタルなら全額計上してもいいんですが、自分でゴルフセットを購入するのは「事業用とプライベート用」との家事按分が難しいため、全額経費にすることは難しいと思われます。
そして、飲食代で接待交際費を計上するためには、誰と(お客さんかスタッフ同士なのか、2人であれば相手の名前、複数であれば何人)、どこで、何のためにという記載が必要です。
「どこで」は大体レシートに記載されていますが、それ以外についてはレシートの裏面などに記載しておく必要があります。これは、家族などのプライベートで食事をした部分も経費にされてしまわないために必要となるものです。
新聞図書費
よくあるファッション雑誌や、新聞、雑誌など仕事に関する本や話のネタになる書籍類などは、新聞図書費で計上することができます。
修繕費
業務用パソコンや仕事のために購入した消耗品などが壊れたときの修理代は、修繕費として必要経費にすることができます。通勤用自動車のタイヤ交換・車検代なども家事按分さえできれば、経費にすることができます。
雑費
クリーニング代や上記のものに区分されない経費は雑費で必要経費にすることができます。
ただし、あまりこの勘定科目が高額になるのは、好ましくないといわれています。ですから、別区分でできるようなら新たに勘定科目を作るか、上記の勘定科目に計上するようにしてください。
ホステス等に支払う報酬の源泉徴収について(原文ママ)
ホステス等に報酬等を支払うときは、所得税および復興特別所得税を源泉徴収しなければならないとされています。
報酬・料金の額から同一人に対し1回に支払われる金額について、5,000円にその報酬・料金の「計算期間の日数」を乗じて計算した金額を差し引いた残額に10.21%の税率を乗じた金額が源泉徴収されます。
もし、支払明細に源泉徴収された金額があれば、確定申告に記載する必要があります。そうでなければ、多く税金を支払うことになってしまうので必ず確認してください。
なお、源泉徴収されていない場合であっても、税金の支払義務者は本人ですので、正しく確定申告を行ってください。
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